小さな ”たまたま” を作り出しているのは私

日々のこと,脱モラハラたまたま,偶然

中央アルプスにある
千畳敷カール~木曽駒ヶ岳を

一緒に登ったのは
路線バスで隣に座った人

普段の生活では有り得ない
山ならではの素敵なことだ

人の出会いは ”たまたま”

この日に決めたから
この山に登るから
このバスに乗ったから
隣に座ったから

出会いの ”たまたま” は
完璧なタイミングということになる

面白いと思う

二度あきらめた山が現実になる

今年は富士山に登ったから
登ってみたかった
千畳敷カール~木曽駒ケ岳を

一度あきらめた

富士山に引き続き
また家を空けるとなると…

奴への報告を面倒に思う
そこを突破する気力がないから
一度あきらめたけど…

あきらめたらそこまでだ…
日帰り…それでもいい…
と思った

そして日曜日だったら問題がない

予報で天気を確認しながら
始発と最終の高速バスの予約を入れる

現地滞在時間は5時間

その日曜日が近づくにつれ
晴れの予報が雨になった
登山には向いていない

「これできれいさっぱり諦められる」
「長時間の移動をしないで済む」
「来年一泊で登ればいい」

二度あきらめた

前日にバスのキャンセルを入れ
面倒くさい払い戻しの手続きを終え

次の日の天気予報を確認する

晴れ……だけど月曜…だ
平日の外出は奴への報告が面倒…だ

無難な
”奴の了解を得る形” は屈辱的…だ

だけど・・・

「よし!行こう!」

いろいろ考えるのを止め
その勢いのまま
淡々とした口調で奴に告げる

「明日山に行きたいんですけど」
「いいよ」と言う奴

その「いいよ」が面白くはないから
だから

腹の中で
「ふんっ」と毒づいて
それから
「よしっ!」と拳を握る

第一の難関を突破した

奴のいるその場で
バス会社に明日の予約を入れる

山に行くことも
急な決定があることも
一人ということも

これで奴は納得するだろう
疑いようがない

これからのこともあるから
結果 良かったのかも知れない

面倒臭さも不安も飛び越えて

明日
私の思いは形になる
思いを現実にすることが出来る

想定外の一日が面白い

新宿から3時間30分の高速バス移動
そして
路線バスに乗り継いだ

途中乗ってきた若い彼女は
隣の席に座った

千畳敷カールのハイキングで
山を登るつもりではないらしい

「千畳敷カールから
登山が出来るんですか?」
と聞いてくる

下調べもないまま来た彼女は
低山にはよく登るらしい

その場限りの会話を楽しんで
それぞれバスを降りた

2612mまで登る
ロープウェイから見えた
青い空と雲と
険しい白い岩肌と滝と
緑と紅葉が
壮大で綺麗だったから期待する

登山届を提出し
ロープウェイの駅を一歩出たら
目の前に広がるカールはガスっていた

残念な気持ちと
見たかった景色の中に立つ感動も
そこそこに

時間が限られているから歩き出す

地図を見ている彼女と目が合った
「どこが登山道なんですか?」と
聞いてくる

私が指さしたのは
ゴマ粒ほどの人がいる登山道と
険しい白い岩肌の頂上

何とは無しに一緒に歩き出す

「あそこまで往復2時間ぐらいだよ」
と話す私

「山を登るつもりじゃない」
と言う彼女は

遊歩道と登山道の分岐で
足を踏み出したのは登山道

装備は十分で何の問題もない

私の指さす
頂上まで登ることになった

登ったらまた
私の指さす中岳の山頂まで
一緒に登る

中岳を登って下りて
木曽駒ケ岳の山頂を一緒に目指す

ガスっている眺望は残念でも
年齢も随分と違う
名前も知らない彼女と

分け合い助け合い声をかけ合う
言葉を交わし笑い合う

共有した時間は楽しい思い出

山を下りてlineを交換し
帰りの路線バスを
彼女は手を振って降りていった

お互いが想定外の一日だ

だから面白いと思う
山ならではの素敵なことだと思う

小さな自信と勇気に変わっていく ”たまたま”

奴の人生を生きていたときは
経験したことがない

小さな ”たまたま”が起きる

完璧なタイミングの ”偶然”

この山を思い出すたびに思い出す
”たまたま” の素敵な出会いは

きっといつまでも
ほっこりと温かい

色鮮やかな思い出は
私にとって掛け替えのないものだ

自分の意思で行動したからこその
”たまたま” の出会いは

これから小さな自信と勇気に変わっていく

そして私の元気に変わっていく