自分の機嫌は自分で取るのが手っ取り早い
私自身の機嫌の取り方
奴に意識を引っ張られると
私は途端に気が滅入る
腹の中で毒づいた毒で
私の気持ちが弱ってくる
奴はいつも落ち着いたままで
私は平常心が揺らぐに連れて
沈むのが常
太々しい奴にイラついたり
不甲斐ない自分にイラついたり
無駄に心が反応するようになり
ストレスが溜まっていく
まるで一人芝居だ

奴に引っ張られた意識を
自分に向けるための
一番のリセット方法は山歩き
山を歩けば
滞っているエネルギーが流れ始め
奴に向いた意識を取り戻し
気分は良くなり元気になる
わたし自身の機嫌の取り方
明日私はきっと山に行く
続いた秋雨も明日は晴れる
空気は澄んで見晴らしが良いはず
「明日は山に行きたい」
ベッドの中で思い立つ
「どこの山に行こう?」
それすら決めていないから
「明日は止めた方がいい」と
甚だこの上ない準備不足を
面倒臭がりの私が面倒に思う
急過ぎる思いつきを一度は諦める
「どこの山でもいい」
「山の空気を吸うだけでもいい」
「登らなくてもいい」
とか
思いを形にしたい私が
面倒臭がりの私を説得する
「目覚めたら決めればいい」と
アラームをセットしたときから

明日私はきっと山に行く
そう思う
青い空を見上げて
山に行けば良かったと
後悔している私が脳裏に映ったから
明日私は
きっとどこかの山に行くはずだ
私の決めた一日
1ヵ月ぶりの山歩きだから
1週間後には行きたかった山の
日帰り強行予定があるから
今日は無理はしないで歩きたい
電車の中メモノートを開き
下調べしてある近郊の山に決めた
アクセス方法をスマホで確認する
睡眠不足の身体はだるい
目を閉じる
私の決めた一日が始まった

思ったよりも早くに山頂に着いた
何てことはない
物足りないからそのまま
縦走することにしたけど
朝ご飯も昼ご飯も買いそびれている
ここから往復6時間の山行は
行動食と非常食でしのげばいい
目指す次の山頂での楽しみが
一つ減ったのは悲しいけど…
咲いている花も少なく
眺望もないから登ることに集中した
1山超え2山超え
目指す3座目の山頂は
想像していた通り
想像も及ばない
想像以上の眺望が待っていた

登って良かったと思う至福の時間
山の連なりの先の
見事な富士山を眺めながら
行動食を食べ水を飲む
辛さを忘れさすほどの眺望も
空腹感を紛れさせることはない
おにぎりを食べたいと思うのが悲しい
自業自得これからの教訓だ
二度と食事を買いそびれることはしない
最短ルートで下山し
麓で遅い昼食を食べながら
山を眺め
素敵な一日になったなと思う
疲れた体が心地よい
何を見るか考えるかは自分で決められる
自分で決め行動さえすれば
素敵な一日になる
今日家に居る奴が
視界に入れば
素知らぬ振りをしながら
私の意識は奴に向くのは必然で
それだけで気分が滅入る最悪な一日が
素敵な一日になった
澱んだ現実から
色鮮やかな現実に逃げれば
弱った気持ちは回復して
不調な心は調子良くなって
私の意識は私に向いて
またしばらくの間
奴に惑わされることなく
自分に集中できる
見たくないものは見ないように
考えたくないことは考えないように
何を見るか 何を聞くか
何を考えるか 何を思うか
何を現実にするか
自分で全部決められるはず
練習というかテクニックというか
慣れというか癖というか
意識をコントロールできたらいい
と思っている
そしたら
どんなに解放されるだろう
どんなに平和だろう
どんなに楽だろう
私がいつか習得したいことは
私の意識の中から完全に
奴の存在を消すこと
そのためには
私の存在を
私の中心に置きさえすればいい
奴の存在を消そうと意識して
気分が滅入るより
自分の機嫌を取りながら
自分にだけ集中することが出来れば
私は悪びれることなく
私の中から奴の存在を消せる
そうしたいと思っているから
いつかはマスターできるはずだ