抜かれる雑草と捨てる雑念とホコリまみれの菜の花と
大地の上で元気をもらう農業ボランティア
自転車をこいで農作業に向かう
週一の気楽なボランティア農作業
長靴、ゴム手袋
日よけのついた帽子が可愛い
頬に触れる空気は穏やかで
日に日に春の匂いが濃くなる
柔らかな日差しの空の下
畑の土の上にいるのが嬉しい
無農薬無化学肥料の
畑と田んぼのある公園
虫食いの穴だらけのキャベツに

ブロッコリーの葉は全滅で

だけどここの畑だと
それはあたり前の風景で
何の違和感もない

ほうれん草は
ほうれん草の味がして

苦手だった春菊が
大好きになって

リーフレタスの味は
しっかり野菜で

ネギは葉まで柔らかい

キャベツを穴だらけにした青虫は
モンシロチョウになって
あちこちで自由に舞い始め

いつかは食べてみたい
つくしも生えて

役割分担して働くミツバチが
花蜜と花粉を集めている
後ろ足についている花粉団子は
体重の半分ほどになることもあるらしい
春爛漫

田んぼのレンゲソウが咲き始め
幼いころに見ていた風景が
ぼやけたままに呼び覚まされる
根粒菌とレンゲの相利共生が
化学肥料に切り替えられ
緑肥としてのレンゲ畑は激減し
今ではほとんど見ない
″雑草″と呼ばれている雑草を抜く
アスファルトで覆いつくされた
その下に
土壌があることを忘れて
普段は生活している
地球の表層を覆っている
土の上にしゃがんでの草とりは
単純で地味な作業

無心でつまんで
まだ小さな
″雑草″ と呼ばれている雑草を抜く
人の都合ねって思いながら
雑草のたくましさに感動しながら
抜いたら抜いたで
晴れやかな気持ちになるのは
抜いても抜いても生える雑草が
もしかして私の中の
捨てても捨てても沸いてくる
雑念のよう?
根っこから抜かれていく
土はフワフワと柔らかい
元気な無農薬無化学肥料で育てた野菜

落葉に雑草とか藁の有機物と
牛糞と魚粉と米ぬかと水とよく混ぜ
足で踏み込んで平らにして
醗酵するときに出る熱で
種を発芽させ苗を育て
そして育苗土になる
なんでもそう
消費者の目に見えないとこでの
生産者の長い手間と愛情を改めて思う
私を含め消費者はきっと
少しの虫食いを嫌う
ましてやその虫を
台所で発見したらウワッとなって
ゾゾッとする
私もそうだから分かる
だけど
無農薬無化学肥料で
育てた野菜を買い求めるのなら
少しの虫食いはあたり前!
万が一にも虫がいたら洗い流して
安心安全野菜が元気な証拠
とはいえ
虫がついていないことを確認しながら
見栄えのよい野菜だけを袋詰めにして
作業は終了

畑の上で土にまみれて元気をもらう
汚れた長靴の土を洗い落とす
それすら嬉しかったりもするのが
今のわたしで
今のわたしが好きだなって思う
それがホントに良かったなって思う

抜かれ踏み潰されても頭を持ち上げる
色とりどりの桜の花が咲き始めた
農園の隅っこで

踏み潰された菜の花が
ホコリにまみれて
黄色い花を咲かせている
誰の目にも留まらない

抜かれて
根を張ることもできない菜っ葉が
つぼみをつけて
精いっぱい頭を持ち上げている
誰も気にかけない
抜かれた雑草も一緒
そして土に還る
意味があるわけじゃない
取り立てて思うほどのことではない
ただ写真に収めただけで