モラハラ夫 一貫した人格は無い。優しさの一秒後の冷淡さ

刻まれた記憶冷淡

序章-何でも俺に言えよ

「子育てで悩みがあったら、一人で悩まないで、俺に何でも言えよ。」

2人の母親になって一ヶ月、休日の車中で優しい言葉をかけてくれた。穏やかな表情と口調は、新米親の私の迷いを受け止めて、助言をしてくれて、導いてくれると思えた。
だから、話し始めた。

「、、、、、あのね、」

話し始めた直後、車を道路わきに停めた夫。怒っている。

「お前よ、俺が今、どんな状態かわかって話そうとしてんの?
仕事が忙しいの!そんな悩みなんて聞く余裕ないの。
俺のことも考えて話せ!自分のことばっかり考えてんじゃねーぞ!
頭、おかしいんじゃねーの!」


今、つい今、何でも話せって言ったばっかりじゃない?どういうこと??
まだ、あのねっとしか言ってないのに? 何で??
私の疑問は声にはならない。

延々と、私を罵る夫の声を聞きながら 、
その矛盾を頭の中は整理しきれないでいた。

矛盾を整理しきれない私は、何かを諦めて100歩譲るようになる。

夫からしたらそうなんだ。
そしたらまず、夫を一番に気遣うしかない。と私は考える。
そう考える私は、モラハラ被害者に成るべくして成っていった。

今となっては、思い出しては笑えるぐらい、夫らしい。

まだまだ序の口に過ぎなかった出来事。
“夫のような人”がいることを知らなかった。

だから、何度も、何度も、夫の優しい言葉に期待してしまう。優しい言葉を鵜呑みにしてしまう。思わず甘えてしまう。

その度に崖から突き落とされ、理解できないまま傷つき、相談したことを心から後悔する。 夫の言葉に騙されてはダメ、甘えてはダメと、学習しても思わず期待してしまう。

そして、“夫のような人”がいることを少しずつ理解し始めた。

ルル
ルル
プロローグは衝撃的で(笑)…‥胸が痛い。。。
キキ
キキ
妻に優しい俺、何ていい人なんだろう!俺っ!感謝の言葉で俺を満足させろ!!

最終章-何でも俺に言えよ

優しい言葉に騙されては、心から後悔する、の繰り返し。 第一章、二章、三章・・・・・、多々あるけど、内容をはっきりと思い出せない。

最終話は覚えている。そこから、二度と夫の“俺に何でも言えよ”に騙されることが無くなったから。難病のSLEを再発し、入院先のベッドの上でのこと。結婚して17年目のこと。

「お前は具合悪くても一人で頑張るから、これから具合悪い時は、俺に何でも言えよ。」

「私が具合悪くなったら、あなたも具合悪くなるでしょ?」
難病再発のベッドの上の病人、 有利な立場の弱者だ。 だから言えた。

私の顔から目をそらし、下向き加減に一点を睨みつけた夫の口から出た声。押し殺してはいるが、太くて低い凄みのある声で、一語一語ゆっくりと威嚇してきた。

「過ぎたことをごちゃごちゃ言ってんじゃねーぞ。」

あっ。。。私の頭の中は、凄い勢いで回転し始めた。 えっ、本当に怒っている?まさか!ここで!何でも言えって言ったばかり!あっ。。。やっちゃった。。。

油断していた。 何年も警戒していたのに、この日、油断した。

有利な弱者の立場は夫に通用しない。私が有利だからこそ夫はイラつくのだ。自分が不利と思う。そして妻を思いやれる夫、良い夫だから優しい言葉をかけたのに、なのに妻は図に乗りやがった、だろう。

具合が悪いのを伝えたとする。休めるどころか、具合の悪い私の方が「大丈夫?」と、気を遣わなければならなくなるパターンが用意されている。何も言わずに一人で頑張る方が楽だと思えるのだ。

「ありがとう」と言えば済むことだった。でも言えるはずがない。

どうしたら機嫌よく帰ってもらえるか、頭の中はフル回転したままだ。でも謝りたくはない。間を開けて、関係ない話を切り出すと、普通に会話をする。笑っている。ほっとした。

その夜、いつものように“おやすみなさい”の電話をいれる。

「もしもし。」
「はい、どちら様ですか?」

「もしもし、お父さん?」
「どちら様ですか?」

「私、、、あなた?」
「どちら様ですか?」

「あっ、おやすみを言おうと思っただけだから。」

電話を切った。
一本調子の、震えあがるほどの冷淡な声が胸に突き刺さった。機嫌は直っていなかったのだ。
電話を切った後も、夫の冷淡な“どちら様ですか?”が、胸を突き刺す。何度も何度も突き刺す。

入院中、二度と電話をかけられない。あの冷淡な“どちら様ですか?”が、胸に突き刺さったままだ。

長い入院生活、大量のステロイドの副作用で“鬱”症状も出ていた。
でも、この“鬱”は副作用で無いことを、私だけは知っている。

私を崖から突き落としたのは夫だ。非情な仕打ちができる、それができる人って何???

私は崖から這い上がる為に必死だった。必死に自分を救い上げようとした。必死に平然とした顔でいた。これぐらいで私は泣かない。弱くない。でも思わぬところで涙が出るから、必死に気を張った3か月間の入院生活。

ルル
ルル
病室だからね、怒鳴り散らせなかったからね、、、
キキ
キキ
さすがに俺も難病だとは言えない。いつもの方式は使えないし、図に乗りやがるし、気分悪かっただろうね(笑)

さらに深い谷底に蹴落とすモラ夫

退院した日、田舎の母に退院報告をする為の電話をいれる。心配している母の声を聞くと涙があふれてきた。必死に止めようとしても、次から次へとあふれてくる。コントロールができない。こんなの初めてだ。

「ごめん、副作用で“鬱”が出てるだけだからね、心配しないで。」
嗚咽で言葉になっていないのがわかる。電話の向こうの母の声も震えている。

電話を切った。
夫が冷たい目で見ているのを感じた。でも、このままでは母が心配するだけだ。

だから夫に頼むしかなかった。
「“薬の副作用で感情を制御できないだけだから心配しないで大丈夫”って、母に伝えて欲しい。」と、夫にお願いした。

「はあ?お前、頭おかしいんじゃねーの?頭、おかしいんだよ!!」

吐き捨てるように言う夫の目は、凍えるくらいに冷たい。情けも何もない憎悪に満ちた目、いつもの目で私を睨んでいる。

おかしいから頼んだ。頼んだ私が馬鹿だ。もっと深い谷底に蹴落とされただけだった。落ちながら“無”になる。感情が“無”になっていくのを感じた。

私の心を蝕むモラ夫

次の日、夫の居ない時に、母に電話をした。心がほっと温かくなる。普通に話もできるし、普通に報告と説明もした。

昨日の緊張は何?縮み上がる緊張は何?あの不安定になった私は何?
落ち着いた私は、昨日の私を不思議に思う。

夫との生活は毎日緊張している、が、その緊張とは違う・・・・・・あっ、あの目だ。退院してきた私を見る目だ。冷淡な目で私を見ている。あの冷淡な目に私はズタズタにされているのだ。



深い谷底に落ちたままの自分をどう救い上げよう、這い上げれないまま苦しんでいる。今までとは違う。今回はどうすることも出来ないでいる。どうにかしなきゃ・・・。

同じSLEを持っていて、ステロイドを大量に摂取した経験があって、この精神状態を理解できる人を考えた。SLE発病で初入院した時、一緒の階にいた男の人。
退院以来、7年間連絡したことはないけど…電話した。

助けて欲しかった。再発のこと、ステロイドの量、夫に“頭おかしい”と言われたこと、今の精神状態、簡単に説明した。

「大丈夫だよ、あなたがおかしいんじゃないよ。ステロイドの副作用のせいだよ。ステロイドが減ると元に戻るから大丈夫。」

「大丈夫」それだけだった、簡単だった。あっという間に引っ張り上げてくれた。私の頭がおかしくなったんじゃない、ステロイドのせいだから大丈夫。

“大丈夫”と、言って欲しかっただけなんだ私・・・私は変じゃない、それだけで嬉しかった!

この“大丈夫”を夫に求めていたんだ私…
優しい夫を見ようしていたんだ…
だからズタズタにされるんだ。だからあの目にズタズタに傷つくんだ。
いつまでも這い上がれるはずがないや…

それからはもう、夫の優しい言葉には騙されていない。
もう心を開くことはしない。あの目に傷つくこともない。
何か月も苦しめられた。もうこりごりだ。

ルル
ルル
ラストチャプターはズタズタボロボロで(笑)頑張るしかなかったんだよね。 “良心”を誰もが持っているって信じていたから…。モラハラの世界だあ。
キキ
キキ
優しさ?思いやり?良心?何だそれ?全然わかんねー!俺は俺!それが虐待の世界!!モラハラの世界!!