モラハラ夫を表現する言葉、“人間じゃない、人面獣心”と知る
モラハラ夫を表現する言葉
「食べてますか?調子はどうですか?」
「夫が不倫中で参ってます。
夫とは主従関係で成り立ってて、夫は事実は関係ない人です。
ストレスの原因を仕事にしてたけど、原因は全てそこです。」
現状と夫婦間と人間性、文字にして二行。
難病を発病して二十数年、夫婦間のことを話したことはない。
先生の口から出る言葉は厳しかった。
「病気になるのは当然です。
誰だって病気になりますよ。」
私はうなずいていた。
「人間じゃないですよ。
猿以下ですよ。」
激しい口調で吐き出される言葉に、私の目は丸くなっていたと思う。
「離婚は?」
「無しです、メンタルも体力も持たないです。
そういう人でそういう関係できたから、今さらです。」
「ずっとその関係のままでいいんですか?
洗脳されていますよ。」
「そう思います。」
「あなたはいつも都合いい答えを出して、自分の気持ちを変えてきていますよ。」
「そうですね。」・・ただの相槌を打つ。
「そういう人は反省はしないですよ。
そういう人だから、その歳で、子供を傷つけて、奥さんを傷つけるんです。
二人であなたを馬鹿にし過ぎです。
相手の人に面倒をみてもらってくださいって。」
「それがいちばんいいんですけど、それは無いと思うんです。」
笑いながら返答する。
「老いらくの恋とかそんなもんじゃない。
二人であなたをなめすぎです。
二人ともただの色キチガイですよ。」
色キチガイ・・・
初めて聞く言葉でも簡単に意味は理解できる。
自分のことのように怒ってくれる先生の、苛烈な言葉に戸惑いながら、何かを納得し始めていた。
今まで夫を表現する言葉を知らなかった。
人間じゃない・・猿以下・・色キチガイ・・
頭の中をぐるぐる回る。
人の心を持っていないんだ。
本能、欲望のまま生きている。
人でなしってそういうこと?
色キチガイ・・・
先生の言葉は夫を的確に表現していた。
人を呪わば穴二つ
先生に話してから2か月間。
自分の情けなさを振り払うように、夫を憎み、恨み続けた。
次の外来で、先生はそれを感じ取った。
「賢くしなきゃだめですよ。
憎んでもいいけど、人を呪わば穴二つ、ですからね。」
「はい・・・」
最近、ネットで知ったことわざだった。
「ちゃんとお天道様は見ていますから。」
「お天道様?ですか」・・・うっすら笑ったと思う。
「ちゃんとお天道様は見ています!
悪い事も良い事もちゃんと見ています!」
先生の口から出る“お天道様”は、似つかわしくなく、不思議な感じがした。
でも、懐かしい温かい言葉。
あなたがいい子だから、神様がちゃんと見てて、ご褒美をくれたんだよ。
ちゃんと見ているんだよ。
先生も母と同じように、私を諭してくれていた。